ボイトレで重要!「腹式呼吸」とは
腹式呼吸はボイトレの基礎となるものです。しかし腹式呼吸が具体的にどういうものなのか、わかっているようでわからないという方もいらっしゃると思います。
この記事では、腹式呼吸とは何なのか、腹式呼吸のボイトレにおけるメリット、腹式呼吸の正しい練習方法やマスターするためのコツなどを詳しく解説します。
歌がうまくなりたい方は、ぜひ練習の際の参考にしてください。
今さら聞けない!腹式呼吸って結局何?

呼吸方法は大きく分けて腹式呼吸と胸式呼吸の2種類があります。
この2つの呼吸法の大きな違いは、空気を取り込むときに動かす筋肉にあります。
呼吸は肺を使って行われますが、肺自体には筋肉がないため、自らの力で空気を吸い込んだり吐いたりすることはできません。そのため筋肉を使って呼吸をしているのです。
- 腹式呼吸
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主に横隔膜(肺の下にある筋肉)を動かして行う呼吸法です。
息を吸うときに横隔膜を下げて空気を取り込むため、お腹が前に膨らみます。そして一度にたくさんの空気を取り込むことができます。
就寝時などリラックスしているときに行っている深い呼吸が腹式呼吸です。
横隔膜は自律神経がたくさん集まっているため、腹式呼吸で横隔膜を積極的に動かすことで、副交感神経を優位にし、身体が安定した状態になります。
- 胸式呼吸
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肋間筋(胸のあたりにある肋骨と肋骨の間にある筋肉)を使って行う呼吸法です。
肋間筋を使って肋骨を広げることにより、肺を膨らませて呼吸を行います。胸式呼吸のまま深い呼吸をすると肩が上下するのが特徴です。
日常生活で活動しているときに行なっている主な呼吸方法が胸式呼吸です。
胸式呼吸では交感神経が優位になるため、アクティブな状態になります。
ボイトレで腹式呼吸をマスターするメリット

腹式呼吸が身心に及ぼすメリット
腹式呼吸ができるようになると次のようなメリットがあります。
- ①リラックス効果
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自律神経のバランスが整い、副交感神経が優位になります。身体の緊張がほぐれるためリラックス効果が得られます。
- ②肺活量がアップ
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腹式呼吸は横隔膜を動かして肺に空気を取り込むため、横隔膜を動かす筋肉が鍛えられます。一度に空気を取り込める量が増え、肺活量がアップします。
- ③持久力がつく
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息が浅いと走っているときに息が苦しくなってきます。腹式呼吸で大きく息を吐くことができると、疲労の原因である乳酸の増殖を抑えてエネルギーを作り出し、息切れがなくなってきます。これにより持久力が増していきます。
そのほかに、ダイエットやデトックス効果などのうれしい効果も得られます。
腹式呼吸を行うと、内臓などふだんあまり使わない筋肉が刺激されます。これにより血行が促進されて代謝が上がり、内臓脂肪減少によるダイエット効果が得られます。
また血行が促進すると、冷え性や肩こりの改善、疲労回復にも役立ちます。
さらに横隔膜を動かすことでインナーマッスルが鍛えられ、お腹の引き締め効果も期待できます。
腹式呼吸がボイトレに役立つ理由
上記で紹介したメリットは、ボイトレにも役立つものばかりです。
- ①リラックス効果で無駄な力を抜いて歌える
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- 喉が痛みにくくなる
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喉や声帯周辺に力を入れなくても発声できるようになるため、喉にダメージを与えずに歌うことができます。
- 伸びやかに歌える
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肩の力が抜けることで伸びやかに歌えるようになります。
- 歌の表現力が上がる
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表情筋の力が抜けて、歌の表現力も上がります。
- ②肺活量がアップすると声量もアップ
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- 大きな声が出しやすくなる
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喉に負担をかけずに大きな声で歌えるようになります。
- ロングトーンが安定しやすくなる
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ロングトーンは曲の歌い終わりやサビの最後など印象的なポイントで一定の音程の歌声を長く出し続ける発声法です。ロングトーンが安定し、長いフレーズが歌えるようになります。
- ブレスコントロールができるようになる
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歌の途中で息が切れると、息継ぎ前後の歌声に影響がでます。吸い込んだ息を適当なタイミングでリズムよく上手に息継ぎができるようになるとともに、歌唱中の息継ぎの回数が減ります。
- ③持久力がつくと長時間の歌唱が楽になる
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1曲歌っただけで息が切れてしまうことがなくなり、カラオケでも長時間歌えるようになります。シニアの方は、長時間の会話が楽になるメリットもあります。
腹式呼吸の正しいやり方と練習方法

腹式呼吸の正しいやり方
腹式呼吸をマスターするには、正しいやり方で習得する必要があります。
具体的な腹式呼吸のやり方について説明します。
- ステップ①姿勢をまっすぐに正す
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背筋を伸ばして姿勢をまっすぐに正し、おへその上に両手を置きます。立っていても座っていてもどちらでもOKです。
- ステップ②息を吸い込む
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肺の空気を全て吐き切って、鼻からゆっくり息を吸い込みます。肩を動かさずに、両手でおへそあたりが膨らんでいるか確認します。
- ステップ③息を吐く
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口をすぼめてお腹の力を抜き、ゆっくり息を吐きます。吸ったときの時間よりも長い時間をかけて息を吐き切ります。
腹式呼吸の練習方法
ステップ①の状態で、ステップ②と③を繰り返します。
息を吸い込んだら(ステップ②)お腹が膨らんでいる状態をキープします。
苦しくなったら息を吐きます(ステップ③)。
息を吐き出すときは可能な限りゆっくり時間をかけます。
目安は以下の通りです。
- 息を吸い込むのに4秒
- 息を吐くのに8秒
最初のうちはやりすぎると頭がクラクラする可能性があります。
- 慣れるまでは1日10回程度
- 慣れてきたら徐々に回数を増やしていく
という流れで継続して練習してみましょう。
腹式呼吸のコツとうまくできないときの解決法

腹式呼吸をマスターするためのコツ
- 「鼻で吸って口から吐く」を意識する
-
口から息を吸い込むと呼吸が浅くなり、空気をたくさん取り込めなくなります。
鼻から吸って、口から吐くときは口をすぼめてゆっくり吐き出します。
お腹の中で風船を膨らませたりしぼませたりするイメージでやるとやりやすいです。
- 体をほぐしてから行う
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体が緊張していると、呼吸が浅くなります。
ストレッチや準備体操で体をほぐしてリラックス状態にしてから行うと腹式呼吸をしやすくなります。
- 普段の生活の中に取り入れてみる
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腹式呼吸は特別な道具は必要なく、場所や時間を選ばずにできます。普段の生活のちょっとした隙間時間を使って練習することで、自然と体に覚えさせることができます。
- 習慣化する
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腹式呼吸をマスターするためには、毎日継続して練習することが大切です。
朝起きたらやる、寝る前にやるなど自分でルールを作って習慣化するといいです。
腹式呼吸がうまくできないときの解決法
- 横になってやってみる
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仰向けになって寝ているときは、自然と腹式呼吸をしています。
横になってお腹に手を置いて呼吸をして、腹式呼吸の感覚をつかんでから練習してみるといいでしょう。
- 前傾姿勢でやってみる
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体を少し前に倒して腹式呼吸をやると、肩や胸が上下しにくくなるため、自然に腹式呼吸ができるようになります。
仰向けで感覚をつかんだら前傾姿勢でやってみる、という順番でやるのもおすすめです。
歌うと腹式呼吸ができないときは・・・
腹式呼吸はできるようになったのに、歌うとできなくなってしまうという声をよく聞きます。その場合は以下を意識して歌ってみてください。
- リラックスする
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歌うことに集中するとリラックスすることを忘れてしまいがちです。リラックスすることを意識して歌うようにしましょう。
- 息継ぎの場所に合わせて息を使い切るようにする
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まず息継ぎのポイントを覚えます。そしてそのポイントに合わせて息を使い切るように歌うと、その反動でスッと息を吸って次のフレーズを歌うことができます。この歌い方ができれば腹式呼吸をしながら歌えるようになります。
- ゆったりした曲で練習する
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テンポが遅めの曲だと息継ぎのタイミングがとりやすくなります。慣れるまではなるべく言葉数が少なめでゆったりした歌いやすい曲で練習するといいでしょう。
腹式呼吸ができているか確認する方法
腹式呼吸が正しくできているか判断できないときは、次の方法で確認してみましょう。
- ①ロングトーンで発声してみる
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出しやすい高さの音で「あー」と発声するロングトーンをやってみます。腹式呼吸ができていれば声がブレずに安定して出し続けることができます。
- ②ウィスパーボイスを出してみる
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ウィスパーボイスは「ささやき声」の発声ですが、声帯を震わせて発声するのが正しい方法です。喉仏あたりに手を添えながら歌うと声帯が震えているかどうかがわかります。
ウィスパーボイスは声量が必要なため腹式呼吸ができていないと声帯を震わせて歌うことができません。安定したウィスパーボイスが出せるかどうかを確認します。
- ③鏡の前でやってみる
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- 正しい姿勢か
- 息を吸ったときに胸ではなくお腹が膨らんでいるか
- 肩が上がっていないか
を鏡でチェックしてみましょう。
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